家電リサイクルのまとめ
私が使用済み電気・電子機器の問題に関わるようになって、30年近くになります。
その聞には、公害問題をはじめ廃棄物処理対策など様々な社会現象がありました。
そして、この10年間は地球環境問題としてもっと広範な対応が求められるようになりました。
1998年6月には、世界に先駆けた「特定家庭用機器再商品化法」(家電リサイクル法)が公布されました。
産業構造審議会などを通じて、この法律の誕生に関与した一人として、世の中の変化に感無量の思いがします。
この本は、(財)家電製品協会が今までに研究してきた使用済み家電製品の処理技術を紹介したものです。
家電製品を対象にしていますが、地球環境問題との関係も分かりやすく説明しであります。
また、使用済み家電製品を考えるとき、大切なことはこれから開発する新製品の環境適合設計です。
リサイクルしやすい製品は将来の地球環境負荷やリサイクル処理コストを低くします。
同時にこのなかでは、製品設計時の悩みや喜びにも触れています。
家電製品を購入したり、使用するときは設計者の意図を考えることが必要です。
また、使用済み家電製品を排出するときはリサイクルに携わる人々のことも考えて欲しいと思います。
これをきっかけに、家電リサイクリングについて、さらに深く広く勉強しようとする人々が増えることを期待します。
今,地球環境に関して,酸性雨,砂漠化,温暖化,オゾン層の破壊,海洋汚染などの問題が心配されています。
これらの問題を家電製品を通じて考えてみましょう。
地球環境と私たちの生活とは大きな関わりがあります。
私たちの生活は,化学工業,鉱工業,農業,漁業,林業など多種多様の産業の恩恵を受けて成り立っています。
毎日のように使っている家電製品もこれらの産業から生まれた製品の1つです。
これらの多くの産業は地球の資源や気候の恩恵を受けているのですが,同時に地球の環境に影響も与えていることがわかってきました。
10 第1章地球環境と家電製品とのつながりその1つが今から約20年前に,日本で起こった公害問題です。
多くの産業活動の結果が,地域の自然や人聞の健康に直接的な害を与えていたことがわかりました。
公害は,短期間に影響が現れるため,その原因も特定しやすいし,防止対策によって発生を防ぐことができます。
科学者や国,自治体,地域住民,そして企業の努力で,日本は今では世界でも有数の公害対策が実施されている国になりました。
一方,環境問題は広い意味では公害も含まれますが,もっと長期間で地域的にも広い範囲の問題といえます。
日頃の通常の生活では気がつかないような長い時間や広い地域の変化が問題なのです。
その原因と結果を明確に結び付けることは簡単ではありません。
専門的な用語を使うと「因果関係」といいますが,かりにその原因が判明し,その対策を実施したからといってすぐに効果が現れるものでもありません。
地球レベルの環境変化を科学的にとらえるためには,広範囲の地域の測定や長期間にわたる大がかりな観測が必要です。
大きな話題になったオゾン層の変化などは,人工衛星から得られた観測データを分析して初めて確認されたといわれていますが,観測データは,場合によっては,数百年から数千年単位の期間にわたっての変化を分析しないと最終確認はできないともいわれています。
また,地球温暖化現象についても,現実に気温の観測データから見て,温度が上昇していることは確かですが,数億年規模の変化で考えると,むしろ地球は徐々に氷河期に向かっているという説もあります。
酸性問や砂漠化,海洋汚染などという言葉も耳にするようになりました。
もちろん,酸性雨や海洋汚染などの地球の汚染は,宇宙規模で観察すると,海底火山の爆発による海洋汚染,地上の火山噴火による大気汚染の影響によるものが大部分であるといわれます。
また,気温の変化に起因する砂漠化なども人類が制御するレベルをはるかに越えた太陽活動によるものであるようです。
しかし,人聞の活動に起因する面が急速に大きくなっていることも否めないでしょう。
酸性雨の問題や地域的な海洋汚染,湖沼汚染の局部的な原因は明らかに人聞の活動によるものでしょう。
そこが,地球環境問題の難しきであり,また放置すれば取り返しのつかない緊急を要する問題でもあるのです。
私たちの回りは,多くの工業製品で成り立っています。
中でも,日常生活で密接に目に見える形で関わっている製品といえば,耐久消費財と呼ばれる家電製品でしょフ。
今や冷蔵庫やテレビ,洗濯機,エアコンのない生活は考えられなくなりました。
家電製品が家庭に普及しているといっても,地球の大きさや重量からみれば絶対量が少なくて,地球環境に直接「因果関係」を及ぼしているとは思えませんが,ここでは,わかりやすい身近な事例として,家電製品を通じて地球環境問題を考えてみましょう。
家電製品をはじめとする工業製品を考えるとき,その構成素材がどのように地球環境に関わっているかを考えてみましょう。
( 1 ) 環境影響物質環境問題について,一番心配なテーマが物質による生体系への影響ですが,これは直接的に影響を及ぼすものと,地球や地域の物質汚染から間接的に影響を及ぼすものとがあります。
当時は人体に対する有毒性や対応策に気がつかなかったPCBやDDT,BCHなどの化学物質もあります。
従来の冷蔵庫や,電子部品の洗浄に使用されてきた特定フロン(CFC11, CFC 12など)という化学物質も,当初は人体に無害で、極めて安定した物質として歓迎されました。
その事実は今も変わらないのですが,大気中に放散されると,はるか地球上空のオゾン層を破壊している原因物質ではないかという観測結果が得られ,大きな問題になりました。
もちろん現在では日本を含め世界中でフロンの使用が規制されるようになりましたが,過去に使用した分は,家電製品,カーエアコン,建築用部材などに残されています。
これらの物質は,環境影響物質(Environmental RelevantMaterial)または危険物(HazardousMaterial)と呼ばれています。
また,太古の昔から私たちに馴染みの深い鉄や銅などの金属も大量に人体に入れば危険ですから,ほとんどすべての物質が環境影響物質といえます。
事実,欧州電子機器メーカー協会(EuropeanEACEM)では, 40種類を超える物質を自主的に指定しこれらの使用に規制基準を設けようとしています。
表1.1に, EACEMが指定した環境影響物質のリスト(案)を示します。
また,経済開発協力機構(OECD)では,環境汚染物質排出・移動登録(PollutantRelease and Transfer Registers; PRTR) といわれる規制を提案し, 日本でも実施するための検討が進められています。
これらの物質は人類の生活に必要で、はあるが,大量に使用したり,使用方法を誤ると人類や生物に悪影響を及ぼすので,「有害な物質」を「管理」し,「循環」して使おうという発想が生まれます。
(2 ) 資源枯渇また,使用されている素材が地球の資源がどのくらい貴重なものかを知ることも必要です。
これは,「資源枯掲問題」といわれます。
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